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【コラム】試用期間延長のポイントと実務対応策

岡山中央社会保険労務士法人です。新入社員の試用期間終了に際しての相談事例も多く寄せられています。この記事では、実際に寄せられた相談の事例をもとに、試用期間の延長について解説します(記事では実際の相談をもとに会社や個人が特定されないように配慮しています)。

参考事例

新年度が始まり、4月に入社した従業員の試用期間が9月30日で終了します。そこで、総務部長は各部署の管理職に従業員の勤務状況を確認しました。すると、営業に配属されたある従業員について、「営業に向いていないようで、困っている」という相談が寄せられました。

 

試用期間満了前の確認

総務部長は、従業員の勤務状況を事前に確認しているため、問題を早期に把握できました。営業に向いていない従業員について、本人の希望も考慮し、今後事務職としての適性を確認することにしました。

 

試用期間の延長について

社労士は、試用期間の延長を検討するよう提案しました。御社の就業規則には、試用期間を延長できる旨が記載されています。試用期間を延長することで、事務職としての適性を見極める期間を設けることが可能です。本採用後に解雇することは、試用期間中に解雇するよりも一般的にハードルが高いため、試用期間を延長して適性を判断する方が良いと考えられます。

 

試用期間延長の手続きについて

試用期間を延長する場合、以下の手続きを行う必要があります。

  1. 就業規則の確認: 就業規則に延長する旨の根拠があることを確認します。
  2. 本人への通知: 従業員本人に対して、試用期間が延長になることと延長する期間を伝えます。

従業員に書面を渡し、試用期間が延長になることを説明し、試用期間中であることを意識してもらうことが重要です。

 

ONE POINT

  1. 事前確認の重要性: 試用期間が終わる前に配属先の管理職等に従業員の勤務態度を確認することが求められます。これにより、気づかないうちに試用期間が終わることを防げます。
  2. 延長手続き: 試用期間を延長するためには、就業規則に延長することができる旨を定め、本人に対して延長することとその期間を伝える必要があります。

試用期間を延長することで、従業員の適性を見極める時間を確保し、より適切な人事判断を行うことができます。

 

試用期間を延長することは法的に問題ないのでしょうか?

試用期間の延長は、適切に行われれば法的に問題ありません。ただし、以下の点に注意する必要があります。

 

労働法の観点から

試用期間の法的性質 試用期間は、労働者と使用者の間で本採用を前提に労働契約を結ぶものの、一定期間の間に労働者の適性や能力を見極めるための期間とされています。この期間中に労働者の適性を確認し、本採用を決定することが目的です。

試用期間の延長に関する条件 試用期間を延長する場合、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 就業規則の明記: 就業規則に試用期間の延長ができる旨が明記されていることが必要です。
  2. 労働者への通知: 試用期間の延長を行う際には、労働者に対してその旨を通知し、延長の理由と期間を明確に伝える必要があります。労働基準法第15条では、労働契約の内容を明示する義務が定められています。
  3. 合理的な理由: 試用期間の延長には合理的な理由が必要です。例えば、従業員の適性を見極めるためにさらに時間が必要である場合などが該当します。合理的な理由がない場合、延長は不当とみなされる可能性があります。

試用期間中の解雇の制限 試用期間中の解雇も制限があります。労働契約法第16条では、解雇には客観的な合理的理由が必要であり、社会通念上相当と認められる場合に限られます。試用期間の延長によって適性を確認する期間を確保し、その間に適正な評価を行うことが重要です。

 

実務上のポイント

就業規則の整備 就業規則に試用期間の延長に関する規定がない場合、まずはその規定を整備する必要があります。延長の条件や手続きについて明確にしておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

延長の手続き 試用期間の延長を決定したら、従業員に対して書面で通知し、理由と期間を明示します。これにより、労働者との間での認識のズレを防ぎ、法的な問題を回避することができます。

 

まとめ

試用期間の延長は、就業規則に定めがあり、合理的な理由がある場合に適法です。労働者への適切な通知と説明を行い、法的に問題のないように手続きを進めることが重要です。労働契約法や労働基準法の規定を遵守し、適切な運用を行うことで、従業員との信頼関係を築きながら適正な人事判断を行うことができます。

 

 

 

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