【DCコラム】節税スキームの行きすぎが制度を壊す 〜DC制度に求められる自浄作用〜|社労士 岡山・倉敷

確定拠出年金(DC)は、老後資金の準備や人材定着に役立つ制度です。
しかし、「節税メリット」だけを目的に導入し、放置してしまえば制度は形骸化します。
近年は、制度を守るために“自浄作用”が働き始めています。
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🏦 節税スキームの行きすぎが制度を壊す
〜DC制度に求められる“自浄作用”とは〜
確定拠出年金(DC)は、企業や従業員の将来の資産形成を支援する重要な制度です。
適切に活用すれば、老後資金の準備や人材定着の面でも大きな効果をもたらします。
しかしその一方で、「節税メリット」だけを過度に強調したり、
制度導入後の運用や説明を“入れっぱなし”にしてしまうケースも見受けられます。
制度が形骸化し、加入者に十分なメリットが届かないままでは、
本来の目的を果たすことはできません。
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🧩 制度を守るための「自浄作用」
近年、一部の運営管理機関(レコードキーパー)では、
「事務取次(専門家)」の設置を標準とするルールを自主的に導入する動きが出ています。
これは法令改正による義務ではなく、
制度を適正に運用し、加入者を守るための自浄作用といえるものです。
専門家が間に入ることで、
制度導入時の説明、従業員への教育、運用管理のサポートといった
「本来必要なプロセス」が確実に実施されるようになります。
制度を“入れる”ことがゴールではなく、
運用を継続的に見直し、保全していくことが求められているのです。
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💬 「はぐくみ年金」に見る教訓
同じような流れは、話題となっている「はぐくみ年金」にも見られました。
経営者の老後資金づくりを目的とした制度でしたが、
節税目的に偏った販売が広がり、結果的に掛金上限が大幅に引き下げられることとなりました。
制度そのものが悪いわけではありませんが、
“使われ方”が本来の趣旨を外れてしまうと、制度全体の信頼を損ないます。
こうした経験は、私たちに「制度をどう運用すべきか」を問いかけています。
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🌱 制度は「入れて終わり」ではない
DC制度も、導入しただけで放置してしまえば、その効果は半減します。
大切なのは、加入者が理解し、主体的に運用に参加できる環境を整えること。
そのためにも、専門家が継続的に関与し、
制度の維持・保全を支援することがこれからのスタンダードとなるでしょう。
節税スキームの行きすぎが制度を壊すのなら、
自浄作用こそが制度を再び健全に保つ力になる——
私たちは、そうした制度運用の“伴走者”でありたいと考えています。







