【人事労務コラム】労働契約の「期間の定め」と「試用期間」は 完全に別の概念|社労士 岡山・倉敷

採用時によく使われる「試用期間」ですが、実は“契約期間の有無(有期・無期)”とはまったく別の制度です。
この違いを理解していないと、「試用期間だから3ヶ月で終わりにできる」と誤解し、思わぬトラブルにつながることがあります。まずは両者の関係をシンプルに押さえることが重要です。
① 労働契約の期間の定め(有期/無期)
これは 働く期間そのものがどう設定されているか。
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無期契約
→「いつまで」の期限がない。
→正社員はこれ。 -
有期契約
→「1年契約」「6ヶ月契約」など、終わりが決まっている。
→アルバイト・パートの多くはこれ。
👉 「期間の定め」とは会社が従業員を雇える期間そのものの話。
👉 この区分は法律上とても重要で、雇い止め(更新しない)などのルールが変わる。
② 試用期間(ある/ない)
これは “お試し運転” のようなもの。
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「この人が本当に会社に合うか?」
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「能力や勤務態度はどうか?」
これを確認するための 評価期間。
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試用期間は 無期でも有期でも 付けられる
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試用期間を設定しただけでは 有期契約にはならない
👉 試用期間は “評価期間” であって “雇用期間の期限” ではない。
よくある誤解:「試用期間3ヶ月=3ヶ月の有期契約?」
❌ 違います!
多くの会社は
「無期の正社員として採用するけど、まず3ヶ月だけ試してみる」
という意味で 試用期間3ヶ月(無期契約) にしています。
この場合、
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3ヶ月で契約が終わるわけではない
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試用期間中でも無期雇用の従業員
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ただし、適性なしと判断されれば「本採用拒否」という処理ができる(要合理的理由)
だから問題が起きるケース
❗「試用期間=有期」だと誤解している会社
例:
「うちは全部『試用期間3ヶ月』で採用してるから、有期契約です」
→ これは誤りで、実態は無期契約
→ にもかかわらず「3ヶ月で契約終了しますね」と扱うと…
→ 法的には「雇い止め」ではなく 解雇扱い になる!
解雇扱い になると、次のような厳しい基準が必要になる:
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客観的合理性
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社会的相当性
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本人への改善指導の経緯
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本採用拒否の理由の説明
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手続きの適正性
そう、実務上とても難しい。
経営者が押さえるべきポイント
1. 「有期」か「無期」かは【契約書】で決まる
試用期間の有無とは関係ない。
2. 試用期間を置いても 自動的に有期契約にはならない
→「期間の定め」の条文がなければ無期。
3. 「試用期間=雇い止め可能」ではない
→ 実態は「本採用拒否(解雇)」なのでハードルが高い。
“トラブル予防の王道” はこれ
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雇用契約書等で 「期間の定めあり/期間の定めなし」を明記する
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そのうえで試用期間を設ける場合は、
「試用期間3ヶ月。適性不十分な場合は本採用拒否あり」 と記載 -
試用期間中に「改善指導記録」を必ず残す
まとめ
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「契約期間の有無(有期・無期)」と「試用期間」は、まったく別の仕組みです。
→ 有期・無期は「いつまで働く契約か」という“契約そのものの性質”
→ 試用期間は「会社との相性・能力を見極めるための評価期間」 -
試用期間を設けても、それだけで有期契約になるわけではありません。
→ 契約書に明確な「期間の定め」がなければ、無期契約として扱われます。 -
試用期間終了時の不適格対応は、“契約終了”ではなく“解雇”に近い扱いになるため、慎重な運用が必要です。
契約トラブルを防ぐためにも、自社の雇用契約書や運用が実態に合っているか、一度専門家にご相談ください。






