【人事労務コラム】その雇止め、本当に大丈夫ですか?――無期転換ルールと“直前雇止め”の落とし穴|社労士 岡山・倉敷

有期契約労働者の「無期転換ルール」は、
「5年を超えたら無期になる」という単純な話ではありません。
更新の経緯や会社の対応次第では、
無期転換申込権が発生する“直前”の雇止めが
違法と判断されるリスクがあります。
厚生労働省が公表している
「無期転換ルール及び多様な正社員等の労働契約関係の明確化に関する考え方と裁判例」
では、裁判例をもとに
どのような雇止めが問題となるのかが整理されています。
本コラム(前編)では、「無期転換ルール編」として
無期転換ルールに関する裁判例の考え方と、
実務上、企業が注意すべきポイントを解説します。
無期転換ルール編:裁判例から見た「判断ポイント」整理
厚生労働省資料が示しているのは、
無期転換そのものではなく、「雇止めの有効性判断」です。
判断ポイント① 契約更新について「合理的な期待」が生じていたか
裁判例では、次の事情が総合考慮されます。
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契約が反復更新されているか
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更新時に特段の条件変更がなかったか
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業務内容・勤務形態が安定していたか
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雇止め前に問題点の指摘や指導があったか
👉合理的期待が認められる場合、雇止めは厳しく審査される。
判断ポイント② 雇止めの「目的」が無期転換回避ではないか
厚労省資料では、特に次のケースが問題視されています。
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無期転換申込権が発生する直前の雇止め
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明確な業務上の必要性が説明できない雇止め
👉無期転換申込権の発生を回避する目的がうかがわれる場合、
特段の事情がない限り、客観的合理性・社会的相当性が否定され得る。
判断ポイント③ 更新上限の設定が「後出し」ではないか
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更新上限が、契約当初から明示されていたか
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無期転換申込権発生前に一方的に設定されていないか
👉途中から設定された更新上限は、
合理的期待を失わせる事情とはならないと整理されています。
判断ポイント④ 労働者の「合意終了の意思」が明確か
更新上限付き契約書への署名があっても、
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労働者が「そこで終了する」と明確に理解していたか
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実質的に選択の余地があったか
が問われます。
👉単なる署名押印のみでは、
合意による契約終了とは評価されにくい。
無期転換ルール編・判断ポイントまとめ
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雇止めは「満了だから自由」ではない
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更新の積み重ねが合理的期待を形成する
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無期転換直前の対応は特に慎重さが求められる
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後出しルールや形式的合意は通用しない
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実質的には「解雇と同様の審査」を受け得る
参考資料・後編のご案内
👉 後編:「多様な正社員編」はこちら
まとめ
無期転換をめぐる判断は、
更新回数、業務内容、指導の有無など
個別事情の積み重ねによって左右されます。
同じ「雇止め」でも、
適法と判断されるケースと、
違法と判断されるケースがあります。
実際の対応については、
必ず専門家にご相談ください。






