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【コラム】働きながら老齢年金をもらう時の注意

「年金が減らされない範囲の給与で勤務したい」というニーズが増えています。働きながら老齢年金をもらうとき、「いくらまで給与をもらえるのか」高齢従業員からの関心が高まっていますので、制度について解説します。

 

働きながら年金をもらう制度はありますか?

【質問】働きながら年金をもらうことはできるのでしょうか?

【回答】できます。特別支給の老齢厚生年金や老齢基礎年金・老齢厚生年金は、給与収入がある場合でも受け取ることができます。

 

ただし、基本月額(詳細後述:老齢厚生年金の月額換算額)と総報酬月額相当額(詳細後述:賞与を含めた1カ月当たりの標準報酬月額)の合計が50万円(※令和6年度)を超える場合は、超えた部分の年金額の半分が支給停止となります。

この仕組みを「在職老齢年金」といいます。

 

在職老齢年金について

在職老齢年金とは、60歳以上で就労して一定以上の賃金を得ている老齢厚生年金受給者を対象に、年金の一部または全部を支給停止する仕組みです。

65歳以降については、老齢(基礎)年金が支給されている人に対して、

①働いても不利にならないようにすべき、
②現役世代とのバランスから、一定以上の賃金を得ている人については、
年金給付を一定程度我慢してもらい、年金制度の支え手に回ってもらうべき、

という2つの要請の中で制度改正が行われてきて、現在の制度になっています。

 

65歳以上の場合、具体的にどの程度年金がカットされるのか?

老齢基礎年金の部分は全額支給されます。
50万円を超えた部分の老齢厚生年金額の半分が支給停止されます。

ここでは65歳以上の方を例に具体的な計算式をご説明します。

 

①基本月額と総報酬月額相当額の合計額が50万円以下のとき

在職老齢年金による支給停止額
= 0円(全額支給)

 

②基本月額と総報酬月額相当額の合計額が50万円を超えるとき

在職老齢年金による支給停止額
= 基本月額- (総報酬月額×相当額+基本月額-50万円)×1/2×12

 

■基本月額
老齢厚生年金の報酬比例部分の額 ÷ 12ヵ月

※基本月額とは在職老齢年金制度の対象となる年金の月額換算額のことです。

 

■総報酬月額相当額
(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷ 12

※標準報酬月額も、標準賞与額の合計(1か月相当)も、計算する月によって変動する可能性があります。
ちなみに総報酬月額相当額は、会社が提出する「報酬月額算定基礎届」「報酬月額変更届」「賞与支払届」等に基づき、自動的に算出されています。
直近の1年間の間にどの程度の賞与をもらっているかを確認しておく必要があります。

 

 

支給停止額に影響のない年金

生命保険会社の個人年金保険や企業型確定拠出年金の老齢給付金は、厚生年金保険法上の報酬・賞与に該当しないため、老齢年金の支給停止額には影響しません。

 

 

まとめ

在職老齢年金は、就労しながら老齢年金を受給する際の制度であり、収入額によって年金の支給額に影響が出る可能性があります。

具体的な支給停止の仕組みは計算式で調整され、個別の状況によって支給額も異なります。

したがって、働きながら老齢年金を受給される場合は、事前に制度をしっかりと理解しておくことが重要です。

 

制度についてさらに詳しく知りたい場合は、日本年金機構のホームページをご参考にするか、最寄りの年金事務所にお問い合わせください。

参考:在職老齢年金の計算方法(日本年金機構HP)

在職老齢年金の仕組み(日本年金機構HP)

 

会社経営者の皆様、身近に相談できる専門家として、ぜひ社労士にご相談ください。

 

 

 

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