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【人事労務コラム】スポットワーク受け入れ時の注意点 |社労士 岡山・倉敷

 

スポットワーカーは“有期雇用労働者”です
〜1日だけでも労働契約が成立しています〜

いま注目を集めている「スポットワーク」──
たとえば、アプリを通じて1日だけ働けるタイミーやシェアフルなどのサービス。
企業側にとっても、忙しい日だけ必要な人手を確保できる柔軟な働き方として普及が進んでいます。

では、こうしたスポットワーカー(働き手)は、労働法上どういった扱いになるのでしょうか?
「日雇い労働者」でしょうか?
いえ、実は “有期雇用労働者”として、法的にしっかり保護される存在 なのです。

 

■ 「スポットワーク」とは?

厚生労働省は、スポットワークについて法令上の明確な定義は設けていませんが、
リーフレット等では、次のように説明しています:

「短時間・単発の就労を内容とする雇用契約のもとで働くこと」

具体的には、アプリ等のマッチングサービスを通じて、
1日単位や数時間単位など、短期間・短時間で就労する雇用形態を指します。

求人の掲載から応募、マッチング、賃金の支払いまでがオンライン上で完結する点が特徴であり、
企業・働き手双方にとって柔軟な働き方として注目されています。

 

■ スポットワーカーは「有期雇用労働者」です

厚生労働省は、2025年7月に以下のような見解を公表しました

(※公式資料:スポットワークに係る労働関係法令のポイント):


🔸 スポットワーカーは、応募・マッチングの時点で雇用契約が成立する
🔸 契約期間が短くても、有期雇用労働者としての法的保護を受ける
🔸 事業主には、労働条件明示や労災保険適用などの義務がある


これにより、スポットワーカーは「日雇い的」な働き方であっても、
「日々雇い入れられる者」(労基法107条)には該当せず、
労働契約を結んだ1日契約の労働者=有期雇用労働者 として扱うべきとされています。

 

■ スポットワーク受け入れ時に企業が負う主な法的義務

スポットワーカーを受け入れる企業(事業主)には、以下のような労務管理上の義務が課されます:

必要な対応 内容
✅ 労働条件の明示 労働契約時に、賃金・勤務時間などを事前に明示(労基法15条)
✅ 労災保険の適用 就業先(受け入れ企業)の事業主が適用責任を負う
✅ 準備・待機時間の労働時間扱い 着替え・指示待ちなどの時間も労働時間として扱う
✅ 休業手当の支払い 会社都合で働けなかった場合は、休業手当が発生(労基法26条)

 

■ 「短期だから大丈夫」は通用しない時代に

1日だけ、数時間だけのスポット的な勤務でも、
労働契約が成立している以上、企業側には明確な法的責任が生じます。

  • 契約書がなくても、アプリ上の合意や条件表示で「契約成立」と見なされる

  • 雇用関係があれば、労働法の適用対象になる

このことは、厚労省も明確に示しています。

 

■ 新しい働き方には、正しい制度設計が必要です

スポットワークのような新しい雇用形態を導入・活用する際には、
就業ルールの見直し、契約管理の整備、トラブル対応体制の構築が欠かせません。

労務管理に不安がある場合は、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

 

 

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