【人事労務コラム】2025年度最低賃金の引上げ目安が発表されました|社労士 岡山・倉敷
2025年度の最低賃金が大幅引き上げへ
~今から備える、給与と労務体制の見直しを~
2025年8月4日、厚生労働省の中央最低賃金審議会にて、地域別最低賃金の引き上げ目安額が63円(昨年度は51円)と決定されました。
仮に目安どおりに各都道府県で引き上げが行われた場合、全国加重平均は1,118円となり、昭和53年度に目安制度が始まって以来、過去最高額となります。
また、引上げ率に換算すると6.0%(昨年度は5.1%)と、こちらも過去最高水準です。
この目安をもとに、各都道府県の地方最低賃金審議会で具体的な金額が答申され、10月上旬には新しい最低賃金額が正式に適用される見込みです。
物価上昇や人材確保の流れを受けて、大幅な引き上げが続く最低賃金改定。中小企業・小規模事業者にとっては人件費への影響が避けられず、早めの確認と対応が重要です。
最低賃金の引き上げにどう対応すべきか?
1. 時給換算で最低賃金を下回る従業員はいませんか?
最低賃金は「時給」で定められており、日給・月給制の社員であっても、所定労働時間で割り戻して時給換算する必要があります。
そのうえで、改定後の最低賃金額を下回る従業員がいないか、給与台帳等で早急に確認を行いましょう。
とくに注意が必要なのは以下のようなケースです:
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パート・アルバイト(短時間勤務)
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固定残業代を含む給与体系
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基本給に通勤手当や住宅手当を含めているケース(最低賃金の対象外)
該当する場合は、10月の改定前までに賃金引き上げや手当見直しを含めた調整が必要です。
業務改善助成金の活用を!
中小企業の皆さまが最低賃金引き上げに対応するために活用できるのが「業務改善助成金」です。
一定の生産性向上の取り組み(機械導入・業務システム改善等)と併せて、従業員の賃金引き上げを行う場合に、費用の一部を助成する制度です。
例えば…
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パート社員の時給を30円引き上げ
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POSレジ・業務ソフト・勤怠管理システムの導入
→ 支出に応じて最大600万円の助成を受けられる場合もあります。
助成対象となる「事業場内最低賃金」や「申請タイミング」などに要件がありますので、該当するかどうかを含めて、お早めにご相談ください。
労務面での対応と社内周知も忘れずに
最低賃金の引き上げは、単なる給与改定にとどまらず、労務管理全体に影響を及ぼします。
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人件費の増加に伴うシフトや配置の見直し
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給与体系や等級制度の再検討
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非金銭的報酬(福利厚生・評価制度など)の充実による定着策
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社員からの問い合わせ・不安への対応
現場での混乱を防ぐためにも、対象従業員への丁寧な説明と、経営陣・管理者との情報共有が不可欠です。
社労士としての視点
~「コスト」ではなく「投資」として捉える~
最低賃金の引き上げは、たしかに経営負担となる側面もありますが、「人材投資」として前向きに捉えることが、長期的な企業の成長につながります。
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働きやすい環境は、人材の定着・採用力向上につながります
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業務の効率化やデジタル化は、長期的なコスト削減に貢献します
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適正な賃金と労働環境の整備は、法令順守・企業価値向上にも資するものです
今回の最低賃金改定をきっかけに、「人を活かす経営」「職場改善の第一歩」として、制度や働き方の見直しを進めてみてはいかがでしょうか。
参考リンク
※参考リンク:
👉 厚生労働省|令和7年度 地域別最低賃金額改定の目安について(2025年8月4日)
👉 詳細・お問い合わせ
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