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【人事労務コラム】2025年度地域別最低賃金答申状況と企業対応のポイント|社労士 岡山・倉敷

2025年度の最低賃金改定に向け、全国47都道府県で答申が出揃いました。
今回の改定は過去最大の引上げ幅となり、事業主にとっては人件費負担の増加が避けられません。

その一方で、政府は中小企業・小規模事業者を対象に、業務改善助成金の拡充を発表しています。
これは、最低賃金引上げへの対応を単なるコスト増に終わらせず、生産性向上や経営改善の契機とするチャンスでもあります。

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引上げ額の状況に注目

2025年度の最低賃金改定では、全国47都道府県で時給63円~82円の引上げが行われました。

  • 引上げ額の内訳を見ると、82円の引上げは1県、81円・80円・79円もそれぞれ1県、78円は3県、77円は2県…と地域によって幅があります。

  • 全国加重平均では1,121円(昨年度1,055円)となり、前年度比66円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降の最高額です。

また、最高額(1,226円)に対する最低額(1,023円)の比率は83.4%となり、昨年度の81.8%から改善。
この比率は11年連続で改善しており、地域間格差の縮小も少しずつ進んでいることが読み取れます。

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出典

厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました」

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地域別の発効時期に注意

答申額は全国的に大幅な引上げとなりましたが、発効時期の地域差も今年の特徴です

  • 岡山県:2025年12月1日から

  • 群馬県:2026年3月1日から

  • 秋田県:2026年3月31日から

…といった具合に、10月から翌年3月末まで段階的に適用されます。
この違いは、地方の経済状況や審議の進め方を踏まえたものであり、単なる手続き上の遅れではありません。

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💡 注目ポイント

今回の改定では、例年10月からの発効が基本とされる中、数か月単位で遅れる県が出ていることが特徴的です。

これは、

  • 中小企業に準備期間を与える配慮

  • 地域ごとの産業構造や人手不足への考慮

  • 引上げ幅を現実的に浸透させるための段階的対応

といった背景が推測されます。

経営者にとっては「発効が遅い=有利」ではなく、準備期間をどう有効に使うかが問われます。
賃金表や人件費計画を先取りして見直す絶好の機会と捉えるべきでしょう。

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給与制度の確認ポイント

最低賃金を下回っていないか、今一度給与体系を点検しましょう。特に以下の点は要注意です。

  • 時間給換算で不足していないか(月給制・日給制の社員も含む)

  • 固定残業代の扱いが正しいか

  • 賞与・手当を含めずに比較しているか

最低賃金違反は、行政指導だけでなく企業の信用にも直結します。早めの確認・調整が不可欠です。

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業務改善助成金の活用

最低賃金引上げに対応するための支援策として、業務改善助成金が拡充されています。
生産性向上のための設備投資や業務改善の取組みに助成が行われ、従業員の賃金引上げと経営改善を同時に実現できる制度です。

  • 新しい機械設備の導入

  • 業務フローの効率化

  • 人材育成やスキルアップの仕組みづくり

こうした投資の一部を国が支援する仕組みです。
「コスト増」への対応を「未来への投資」に転換するために、積極的に活用を検討すべき制度といえます。

あわせて、2025年9月5日、厚生労働省は「業務改善助成金」の拡充を発表しました。

下記の記事もご覧ください。

ぜひ、賃上げと併せてご検討ください。

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まとめ

2025年度の最低賃金改定は、人件費増というリスクと同時に、経営改善のチャンスでもあります。
発効時期の違いを踏まえ、給与制度を確実に見直すとともに、助成制度を有効に活用し、企業の成長につなげていきましょう。

詳細な対応方法や御社の状況に即したアドバイスについては、ぜひ当事務所までお問い合わせください。

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