【人事労務コラム】問題社員を“モンスター化”させないために|社労士 岡山・倉敷

心理学から考える「初動対応」の重要性
企業実務で「問題社員」という言葉が使われる場面は少なくありません。
多くの場合、その議論は「すでに問題が顕在化した後」、つまり対症療法から始まります。
しかし、本当に重要なのは問題が表面化する前の初動です。
本コラムでは、問題社員がどのようにして“モンスター化”していくのかを、心理学的な視点から整理し、その上で実務上の対応を解説します。
1.問題社員は最初からモンスターなのか?
結論から言えば、多くのケースでは最初からモンスターではありません。
きっかけは、驚くほど些細なことです。
例:よくある「始まり」
- 労働時間について質問した
- 業務指示の曖昧さを確認した
- 従来のやり方に違和感を示した
これ自体は、業務上ごく普通のやり取りです。
ところが、その後の対応次第で、社員側の受け取り方が変わります。
2.心理学的に見る「問題社員化」のメカニズム
人は、自分の立場が脅かされると防衛本能が働きます。
これは心理学や産業保健の分野ではよく知られている現象です。
防衛本能が働くと起きやすい行動
- 言動が攻撃的になる
- 上司や会社への不信感が強まる
- メモや記録を取り始める
- 外部(労基署、専門家など)への相談を検討する
重要なのは、これらが性格の問題ではなく、ストレス下での自然な反応である点です。
本人は「争いたい」と思っているわけではなく、 「不利な立場に立たされないように身を守ろう」としているだけの場合も少なくありません。
この段階で適切な初動対応が取られないと、 行動は次第にエスカレートし、周囲から「問題社員」「モンスター社員」と認識されていきます。
3.モンスター化した後のパターン別対応
いったんモンスター化が進むと、対応は難易度が上がります。
実務上は、主に次の2つのパターンに分かれます。
① 攻撃的な言動が目立つタイプ
- 上司や会社への強い不信
- 感情的な主張
- 権利主張が前面に出る
このタイプは、すでに対立構造に入りつつあります。
対応のポイント
- 感情論で応じない
- 事実・記録・手続きを重視
- 指導や注意は段階的・書面化
ここでは、弁護士的・法的な視点を取り入れた会社防衛型の対応が重要になります。
② メンタル不調が強く表れるタイプ
- 遅刻・欠勤が増える
- 集中力低下、居眠り
- 通院や休職の相談
このタイプは、本人の不調が前面に出ています。
対応のポイント
- 業務指導と健康配慮を切り分ける
- 産業医・主治医の意見を尊重
- 無理に問題行動として処理しない
ここでは、産業医的な視点を踏まえた安全配慮・健康配慮が欠かせません。
4.最終的には「一般的な問題社員対応フロー」へ
どのパターンであっても、最終的には
- 事実確認
- 指導・注意
- 改善機会の付与
- 配置転換・懲戒等の検討
といった、一般的な問題社員対応フローに沿って、会社を防衛する対応が必要になります。
ただし、この段階まで進むと、 時間的・精神的・法的コストは大きくなります。
5.まとめ:モンスター化する前に止める
問題社員対応で本当に重要なのは、 モンスター化してからの対処ではなく、その前段階の初動対応です。
- 些細な違和感
- 初期の質問や確認
- 不安や防衛反応の芽
これらを早い段階で丁寧に扱うことで、 多くのトラブルは深刻化せずに済みます。
一方で、いったんモンスター化が進むと、 企業単独での対応は難しくなります。
その場合は、社労士・弁護士・産業医など、 専門家と連携しながら対応することが不可欠です。
問題社員を生まないための初動対応は、結果的に会社と社員の双方を守ることにつながります。
当事務所では、人事労務の専門家として、個別の事案に応じた整理や対応の助言を行っています。
人事労務に関するお困りごとがありましたら、お気軽にご相談ください。






