【人事労務コラム】労働基準法「40年ぶり改正」の話題、まず経営者が知っておきたい3つのポイント|社労士 岡山・倉敷

最近、
「労働基準法が40年ぶりに大改正される」
といった情報を目にする機会が増えています。
一方で、
「もう対応しなければならないのか」
「何が、いつ変わるのか」
と戸惑っている経営者の方も多いのではないでしょうか。
まず大切な前提として、現在議論されている労働基準法の見直しは、すでに成立・施行された制度ではありません。
2025年度の国会には提出されないことが決まっており、実際の法改正は延期されています。
ただし、今回の見直し議論は、
働き方改革やコロナ後の働き方の変化を背景に、長年にわたって検討されてきた内容です。
そのため、将来的に「見直しの方向性そのもの」が大きく変わる可能性は高くないと考えられています。
本コラムでは、
「もう変わった制度の解説」ではなく、
これから企業が向き合う可能性が高い制度の流れを、経営者目線で整理することを目的としています。
まず今回は、数ある論点の中から、
「労働者の健康確保」に関わる3つのポイントに絞って見ていきましょう。
なぜ、労働基準法は見直されようとしているのか
労働基準法は、実は 1987年以降、実質的なフルモデルチェンジが行われていません。
この法律はもともと、
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工場労働
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出社前提
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決まった時間に働く
といった「産業モデル型の働き方」を前提に作られています。
しかし現在は、
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リモートワーク
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フレックスタイム
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副業・兼業
など、働き方が大きく変わりました。
その結果、
法律の前提と、現場の実態にズレが生じている
これが、今回の見直し議論の大きな背景です。
見直し議論の3つの柱
今回の労働基準法見直しでは、大きく次の3つが柱とされています。
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労働者の健康確保(過重労働の防止)
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多様な働き方への対応
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労働時間の考え方の見直し
今回はこのうち、
「健康確保」に関係する3つの論点を紹介します。
① 14日以上の連続勤務の禁止
現行制度の課題
現行の労働基準法では、
「4週間に4日の休日を与える」
という規定の組み合わせにより、
理論上は最大48日間の連続勤務が可能となっています。
実際に行っている企業はほとんどありませんが、
制度上の“抜け道”があるのも事実です。
見直しの方向性
これを改め、
14日以上の連続勤務を禁止する
という方向性が示されています。
多くの企業ではすでに対応できているため、
実務への影響は比較的小さいと考えられます。
② 法定休日の「特定義務」
今の制度は、正直わかりにくい
休日には、
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法定休日(割増35%)
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法定外休日(割増25%)
という区分があります。
しかし、
「土日休み=どちらも35%」
と誤解されているケースも少なくありません。
実際には、
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週に1日も休めなかった場合に35%
という仕組みになっています。
見直しの方向性
この分かりにくさを解消するため、
👉 どの日を「法定休日」とするのかを、就業規則などで明確に定めることを義務化
する方向で検討されています。
これにより、
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従業員にとって分かりやすい
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勤怠・給与計算がシンプルになる
といった効果が期待されています。
③ 勤務間インターバル制度の義務化
現在は「努力義務」
勤務間インターバル制度とは、
終業から翌日の始業まで、11時間以上空ける
という制度です。
現在は努力義務にとどまっています。
見直しの方向性
これを
義務化する
という案が検討されています。
ただし実務上は、
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出社時刻がどんどん遅くなる
-
労働時間管理が複雑になる
といった課題もあり、
制度設計や運用方法が重要になるポイントです。
企業として今、考えておきたいこと
今回の話は、
「明日から対応しなければならない制度」
ではありません。
しかし、
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勤怠管理の考え方
-
休日の設計
-
就業規則の書き方
について、
将来を見据えて整理しておく価値は十分にあります。
制度は突然変わるように見えて、
実は少しずつ「方向」を示しながら動いていきます。
その流れを早めに理解しておくことが、
企業にとってのリスク管理になります。
制度の整理や実務への影響について、
「自社の場合はどうなるの?」と迷われることも多いかと思います。
何かお困りごとがありましたら、お気軽にご相談ください。






