「労働者」の定義、見直しへ ~変わる働き方と法律のギャップ~ 「労働者」とは誰のことを指すのか――。これまで当たり前のように使われてきたこの言葉が、今、大きな見直しの岐路に立たされています。フリーランスや副業、ギグワークなど、近年の働き方の多様化により、「誰が労働者なのか」という線引きがますます曖昧になってきました。 2025年5月、厚生労働省は「労働基準法における『労働者』に関する
「4社に1社は対応できない」との声も。今後の動向と対応策を考える 2024年、日本商工会議所の調査によると、最低賃金が1,500円に達した場合、**「4社に1社は対応できない」**と答えた中小企業があることが報告されています(※出典:日商「最低賃金に関する調査」2024年1月実施)。こうした現場の声を受けてか、政府が目指す最低賃金の目標には静かな変化が見られます。 かつて一部報道や有識
企業型確定拠出年金(企業型DC)を導入する企業が増えてきています。実は企業型DCはもしもの時の備えにもなります。企業型DCの加入者が亡くなった場合、その積み立てたお金はどうなるのか解説していきます。 企業型確定拠出年金はご遺族の方が「死亡一時金」として受け取ることができます。 万が一、加入者が亡くなってしまった場合でも、ご遺族の方が「死亡一時金」として受け取ることができます。運用によっ
2025年(令和7年)4月1日から「高年齢雇用継続給付」の支給率が引き下げられます。 これまで最大で賃金の15%が支給されていたこの制度ですが、改正後は**最大10%**となります。この変更は、60歳以降も働き続ける社員の生活や、企業の人件費設計にも影響を及ぼす可能性があります。 今回は、この制度改正をきっかけに、企業の人事労務担当者や経営層が押さえておきたい「60歳〜65歳の空白期間
2025年4月、新たに「出生後休業支援給付金」や「育児時短就業給付金」といった制度が創設されました。これにより、子育てと仕事を両立しやすい環境が一層整備される見込みです。本コラムでは、新制度の「育児時短就業給付金」にスポットを当てて分かりやすく解説します。 1. 育児休業等給付の全体像 2025年4月以降の育児休業等給付には、主に以下のような給付金があります。 図1: 育児休業等
企業型確定拠出年金(企業型DC)は、会社の経費として退職金を積み立てることができる制度です。特に小規模企業の経営者の方にとって、経営資金と個人資産を明確に分ける手段として大きなメリットがあります。 役員も活用できる福利厚生制度 一般的な退職金制度では、役員が対象外となることが多いですが、企業型DCは役員も活用できる福利厚生制度です。経営者が自分の退職金をどのように準備するかは重要な課題
2025年に施行される各種法改正により、企業の人事・労務管理において重要な変更が求められます。以下、主な改正内容と企業が取るべき対応についてまとめます。 2025年施行の労働関係法改正と企業の対応 1. 育児・介護休業法等の改正 2025年4月1日施行 改正内容 企業の対応 (a) 残業免除の対象範囲拡大★ 3歳以上小学校就学前の子
令和7年度の雇用保険、健康保険、介護保険の料率が変更されました。 給与ソフトの設定変更等、必要な対応をお願いいたします。 【令和7年度 雇用保険料率】 令和7年度の雇用保険料率は以下の通りです。 一般の事業:労働者負担 5.5/1,000、事業主負担 9/1,000(合計 14.5/1,000) 農林水産・清酒製造の事業:労働者負担 6.5/1,000、事業主負
2025年1月20日から、離職票をマイナポータルで受け取ることが可能になります。従来は事業所を通じて郵送されていた離職票ですが、電子申請による手続きの簡素化が進み、迅速に受け取れるようになります。本記事では、マイナポータルでの離職票受取方法について詳しく解説します。 マイナポータルでの離職票受取のメリット 1. 迅速な受取 従来の郵送による離職票の受取では、発送から到着まで数日を要し
労働裁判の判例は、実務における重要な指針を提供してくれます。今回は、実際の労働裁判事例(滋賀県社会福祉協議会事件)を取り上げ、職種や勤務地の限定合意がある場合の配置転換について考えてみます。 労働裁判事例(滋賀県社会福祉協議会事件)から学ぶ配置転換の注意点 滋賀県社会福祉協議会事件の概要と争点 概要: 本事件は、滋賀県の社会福祉法人が運営する施設に勤務していた技術職員が、配置転換命